今の時代に「先発完投」を目指すのは、ほぼ不可能である
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分業化もある種の固定観念に縛られていると思います。投手の酷使によるリスクを分業化によって回避するするのも一つの道ですが、完投できる投手をたくさん増やしてトータルの負担を減らすのも一つの道だと思います。難しいのは確かですが、今年の日ハムはそれを実現しています。
と言う意見を貰った。良い機会なので、これがなぜ難しいかを説明したい。
投手が先発完投を目指すとは、端的に言えば「より多くの球数を投げる」ことだ。
先発投手の投球の目安は「1イニング15球」とされる。6回ならば90球、7回ならば105球、完投すれば135球になる。「先発完投する」とは、1試合で135球前後の球数を投げる、ということになる。
投手の故障の主因は、投球動作数=球数と投球強度=球速だ。これに個々の変化球の負担やマウンド、ボールなどの環境要因が絡む。もちろん個人差もある。
昭和の時代、多くの投手が「先発完投」できたのは、当時の投手が多くの球数を投げることができたからだ。
なぜ、多くの球数を投げることができたのか?端的に言えば「投球強度が低く、肩肘の負担が大きくなかった」からだ。昭和の時代、150㎞/hの球を投げる投手はめったにいなかった。それでも打者を抑えることができた。
当時の打者は体が小さく、一部の強打者を除いて、投手にとって最もダメージが大きいホームランを打つことができなかった。昭和の時代のグラウンドは両翼90mと、今よりも10mも短かったが、さく越えを打つ力のある打者は少なかった。
昔の先発投手は、今よりもホームランのリスクを恐れることなく投げることができた。だから、先発完投することができたのだ。
しかし、いくら遅い球でも球数が増えれば故障のリスクが高まるはずだ。300勝するような昔の大投手は、今の投手よりも強靭だったのではないか?今の投手より優秀だったのではないか?
そうではない。あまり知られていないが、昭和の時代、300勝投手が6人も出た一方で、1~2年活躍して消えていった投手もたくさんいたのだ。300勝投手は「運よく」故障をまぬかれた投手と見ることができる。
今の時代「先発完投」を目指すのが難しいのは、投手の「投球強度=球速」が飛躍的に高まっているからだ。
2022年に私は元オリックスの野田浩司に話を聞いたが「僕の時代に150㎞/hを投げていたのは、野茂英雄だけでした。僕は149㎞/hを1回出しただけ」と語った。野田はNPBタイ記録の「19奪三振」の記録を持つパワーピッチャーだが、30年前の時点でも、その程度だったのだ。
今年のセ・パ両リーグの規定投球回数到達投手の最高球速
ほとんどの投手が150㎞/hを超えている。この球速で、120球以上をコンスタントに投げることは難しいし、それを実行すれば、故障のリスクは高まると考えられる。
ただ、今季の日本ハムの「完投主義」は、かなり面白いので、午後のブログで紹介する。
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